2016-04-01から1ヶ月間の記事一覧

至福の仕掛け絵本――2冊の『シンデレラ』

子どもの頃、初めて買ってもらった仕掛け絵本は「光文社の動く絵本」の『シンデレラひめ』(絵=岩本康之亮)だった。その時代は、十見開きのうち、ハイライトの一開きだけが仕掛けになっていた。シンデレラの場合は、もちろんカボチャが馬車になり、二十日鼠…

『ペレアスとメリザンド』とフォーレのシシリエンヌ(シチリアーノ)

『ペレアスとメリザンド』(Pelléas et Mélisande)は、『青い鳥』を書いたベルギーの劇作家モーリス・メーテルリンクの禁断の愛の戯曲である。 日暮れの森の中で、長い髪の若く美しい女性が泣いている。通りかかったアルモンド王国の王太子ゴローは、メリザ…

アナトール・フランスの童話『アベイユ姫 』

アナトール・フランスの童話『アベイユ姫 』 ジョルジュ・ド・ブランシュランドは、生まれてすぐに父の伯爵を、三歳の時に母を失う。伯爵夫人は、ジョルジュの行末を案じて、親友のクラリード公爵夫人に、ジョルジュの養育を託して天に召される。その日から…

ジャック・プレヴェール脚本『やぶにらみの暴君』

ジャック・プレヴェール脚本『やぶにらみの暴君』 1952年に邦題『やぶにらみの暴君』としてアニメーション公開。原作はハンス・クリスチャン・アンデルセンの「羊飼い娘と煙突掃除人」。監督のポール・グリモーは、1967年に『王と鳥』として改作。この映画に…

オートマタの悦楽とセーラ・クルーの「最後の人形

オートマタの悦楽とセーラ・クルーの「最後の人形」 オートマタ(Automata ギリシャ語の「一人で勝手に動くもの」が語源)は、主に18世紀から19世紀にかけてヨーロッパで作られた機械人形ないしは自動人形のこと。ゼンマイを巻いて動くからくり人形。 動かな…