2013-01-01から1年間の記事一覧

【知の小匣】手のひらの上の小さな本展

24年前の初個展の画廊へふたたび還ってきました。 装丁家として培われた豊富な経験、アンティークを含めた布や革やパーツなどの素材のコレクション、それらが小さな本の外側に生かされています。そして内側には、子供の頃からの詩と古典への原初の情熱が息づ…

中河与一『天の夕顔』と三つの灯り

この夏は、青山の展覧会の直後、緊急搬送され、約2ヶ月を代々木の病院で過ごした。痛みに加えて、取材や講習や仕事、応えられぬことばかり、何もしない日々が続いた。5回目に替わった最後の部屋の頃は、もう杖で歩くことができた。大部屋の西側に大きな窓が…

ロシアのマッチラベルの豆本『ЯРЛЫК СПИЧКИ』

【一日講習のお知らせ】 マンドリンやアコーディオンを弾くルパシカの青年、ケーキをかかげたりスケートをしている少女など、ロシアのマッチラベルをコレクションしたマッチ函に入った豆本『ЯРЛЫК СПИЧКИ』。ラベルは原寸。本は左右58×天地76mm 。内函は赤、…

ジュディット・ゴーティエと東洋ヘの夢

日本に生まれ、西洋に憧れ続けて逝った広津里香とは対照的に、フランスに生まれ、ロンドンとパリ万博でジャポニスム・オリエンタリズムに触れて東洋に憧れたジュディット・ゴーティエは、時にキモノを羽織って日本・東洋趣味の小説を書いた。 彼女は1845年、…

緑の蛇と百合姫のメールヒェンに開示されたゲーテの精神

ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテの『メールヒェン 』 は、『童話』というタイトルに反して、大人にとってもかなり難解な物語である。 鬼火達が渡し守に河を渡らせてもらって金貨を渡すと、渡し賃は地から生えたもの(三つのタマネギとキャベツと朝鮮…