2014-11-01から1ヶ月間の記事一覧

落し文(オトシブミ)と花筏(ハナイカダ)

初夏の栗の木の下などに落ちている、葉に包まれた2センチほどの箱寿司のようなもの。細長い栗の葉を縦に中表にして、くるくると巻いて、最後に表の緑を見せて巻き止めてある。そのなかに入っているのは、2ミリ位の宝石のようなオレンジ色の卵。卵が孵ると…

李陸史『青ぶどう』と尹東柱『星うたう詩人』

韓国の詩人李陸史(イユクサ)の『青ぶどう』(伊吹郷訳/筑摩書房1990年)からいくつかの詩篇を拾ってみる。 青ぶどう わが里村の七月(ふみづき)は 青ぶどうの色づく季節 この里の伝説がたわたわ実り 遠くの空が夢見ようと粒つぶに溶けこみ 空の下まっさ…

『メランコリイの妙薬』と『ノスタルジアの妙薬』

レイ・ブラッドベリの短編集『10月はたそがれの国』を読んだのは、中学生の時。赤毛の魔女と大きなトカゲが妖しい建物の前を歩いている表紙の絵に、ひどく興味をそそられたからだ。初めて買った文庫本だったかもしれない。今でも覚えているのは、この中でも…